医療コラム

★健診で蛋白(たんぱく)尿を指摘されたら・・・

★健診で蛋白(たんぱく)尿を指摘されたら・・・

2020/11/12
杉浦先生 

健診には必ず尿検査が含まれています。血圧や肝機能、血糖値などに比べて注目されることが少ないですが、腎臓病の早期発見にはきわめて重要な検査です。今回は、この尿検査、特に蛋白尿に焦点を当ててみたいと思います。

腎臓は腰の背中側に左右2個あります。腎臓の主な働きは、血液を濾過して尿を作り、体内の老廃物や過剰な水分を排泄することです。血液の濾過は糸球体とよばれる毛細血管が球状になった部分で行われます。1個の腎臓には約100万個の糸球体があります。この糸球体が腎臓の病気で傷つくと、尿中に蛋白がもれるようになります。つまり、蛋白尿は腎臓病の初期症状であり、腎臓病の早期発見、早期治療の鍵となります。

蛋白尿などの腎臓の障害が3か月以上続く場合、慢性腎臓病(CKD)とよばれます。CKDは透析が必要な腎不全に進行しやすいだけではなく、心筋梗塞や脳卒中など疾患が発症しやすいことが知られています。このような合併症は蛋白尿が高度になるほど起こりやすく、高度蛋白尿の人では、15年で15%程度の人が透析を必要とする腎不全に至り、心疾患や脳卒中の危険率も3倍以上に増加します。

CKDは治らないといわれることが多いですが、早期に診断されれば完治や寛解が可能なこともあり、また発見が遅れた場合でも血圧管理や食事療法を中心とした治療で腎機能悪化を抑制し、透析の開始時期を遅らせることが可能です。

例えば、日本に多い腎炎であるIgA腎症では、慢性扁桃炎が発症に関与していることから、扁桃腺摘出術を行ってから、ステロイド・パルス療法(大量点滴静注法)をおこなうことで、90%以上の症例で寛解が得られます。また、進行したCKDでも降圧薬としてアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を用いることで、尿蛋白が減少し、長期的に腎機能悪化を抑制することが知られています。

蛋白尿を指摘されたら、早めに医療機関を受診し、原因を明らかにして治療を開始しましょう。

2020年11月 腎臓内科 杉浦寿央

Access
最寄り駅

大阪メトロ谷町線「天満橋駅」下車
1・3番出口より徒歩約5分

京阪電車「天満橋駅」下車徒歩約5分

JR東西線「大阪城北詰駅」下車徒歩約15分

住所

〒540-0008 大阪府大阪市中央区大手前1-5-34

アクセス情報を見る