医療コラム

内視鏡診療とAI

内視鏡診療とAI

2022/03/11
木下先生

「AI」という言葉を連日のように耳にするようになりました。人工知能Artificial Intelligence(AI)は自動運転、会話できるロボット、AIスピーカー、顔認証システムなどに搭載・活用されるなど、急速に発展してきており、国内外で注目が高まっています。今後日本は本格的な人口減少時代に突入し大きく社会変革が起こることが予測されますが、ニューノーマルな社会において様々な分野でAIは大きな役割を持つことが予測されています。

 将棋の世界に目を向けると、当初はプロ棋士に全く歯が立たなかった将棋AIですが、2013年、2014年に行われた現役棋士と将棋AIソフトたちとの団体戦(電王戦)で将棋AIが勝利し、2015年の電王戦では現役棋士が一矢を報いたものの、2017年当時の佐藤天彦名人が将棋AIに完敗しました。人間は疲れにより間違いが生じることがありますが、AIは疲れ知らずであり短時間で莫大な量の手(選択肢)を考えられるのです。将棋AIには多くのプロ棋士の対局棋譜を学習させてどんどん進化させており、現在トッププロ棋士は研究にAIをパートナーにして行うことが主流となっており、19歳にしてタイトル五冠を獲得した藤井聡太さんは100万円以上を投資して自宅PCに導入しているそうです。

 近年のAIの発展はAI自身が学習する機械学習システムであるディープラーニング(深層学習)というコンピューターの処理システムによるところが大きいのだそうです。膨大な量の情報を与えられたAI自身が、人間の脳の神経回路の一部を真似て作られた多層化されたニューラルネットワークというシステムを用いてデータの規則性や判断基準を見つけて分析・判断して学習できるようになったのです。

画像を認識するという点においてAIは非常に優れた能力を示し、AIによる画像認識能力は大きく進歩してすでに人間の能力は超えていると言われています。私どもが携わる消化器内科の仕事の中で内視鏡診療でも胃がん・大腸がん・食道がんなどの存在診断・質的診断・がんの深さの診断などに利用する研究が進んでいて、すでに医療AI機器が開発されています。内視鏡領域だけでなく、レントゲン・CT、病理診断、眼底画像などでの開発・研究が進んでいます。内視鏡領域での保険適応はまだですが、2022年度の診療報酬改定では単純・コンピューター断層撮影における画像診断補助に関する加算の保険収載が認められるようです。

いずれにせよ、AIを診断・治療における医師の効率を上げる情報を提示する支援ツールとして用い、医師は患者さまとコミュニケーションを図り診断・治療などを行う最終的な判断の責任を負うことがこれからの時代には求められていきます。内視鏡診療をはじめとする診療においてAIを補助ツールとして用いることが普通になる日は遠くなさそうです。AIに負けないように勉強していかないといけないと思います。

2022年3月 消化器内科部長 木下 和郎

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