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狭心症・心筋梗塞のQ&A

Q1.狭心症・心筋梗塞という病名は、日本人の間でも増えてきて心臓の病気としてよく知られるようになりましたが、心臓のどこが、どのように悪くなっておこる病気なのでしょうか?

心臓はご存じのように血液を肺や全身へ送るポンプの働きをしています。筋肉でできた袋でこの袋が縮んだり、広がったりすることで血液を吸い込んだり、送り出したりしています。心臓自身も、内臓のひとつですから血液を介して酸素や栄養を受け取る必要があります。それを供給する血管を冠状動脈といい、心臓の表面に細い血管が木の枝のように張り巡らされています。つまり心臓がポンプの作用で送り出した血液の一部をこの血管によって自分自身に供給しているわけです。この冠状動脈が、ひどい動脈硬化をおこしますと、血管の壁が分厚くなって内腔が狭くなり心臓の筋肉(心筋)への血液の供給が減り症状が出ます。これを狭心症といいます。この変化がさらに進んでついには血管が完全に詰まって心筋への血液が途絶え、心筋が壊れて(壊死)ポンプとしての機能が障害されます。これが心筋梗塞です。

Q2.どのような症状が出て、どのように対処したらいいのでしょうか?

症状は、「胸の痛み」として出ます。心臓は胸の真ん中から少し左寄りに位置しますので、胸の中央部から左胸部の締めつけられるような痛みが特徴的です。狭心症では、圧迫感や重苦しさがあり、痛みの持続時間は1-3分と短かく、長くても15分以内で、ほとんどが労作時、興奮時、食後におこります。心筋梗塞では、痛みに不安感や重症感があり、冷汗や嘔吐を伴うこともあります。痛みの持続は30分から数時間に及び、労作とは無関係におこることが多く、過労が誘因となります。狭心症や心筋梗塞いずれの場合も痛みを、背中や左肩、左腕、下顎で感じたり、あるいは心窩部痛(みぞおちあたりの痛み)や上腹部痛のこともあり(放散痛)、他の病気とまぎらわしい場合があります。 このような症状が出た場合は、早く医師の診察を受けるべきです。特に、心筋梗塞を思わせる重篤な症状の場合は直ちに受診してください。

Q3.どのような検査をするのでしょうか?

病院を受診し、問診と一般検査(心電図、胸部X線検査、血液検査)で狭心症や心筋梗塞が疑われた場合には、さらに詳しい精密検査が行われます。精密検査として、運動負荷心電図、心エコー検査、24時間(ホルター)心電図、心臓カテーテル検査などが行われます。心臓カテーテル検査とは、手足の動脈や静脈からカテーテルと呼ばれる細い管を心臓の血管の内部まで送り込み、左右の心房、心室、肺動脈の血圧や血液の酸素含有量などを調べる検査です。この際カテーテル先端から造影剤を注入して、冠状動脈の病変を映し出す方法を冠動脈造影法といい、これにより狭心症や心筋梗塞の原因になる冠動脈の狭窄の程度が正確に把握できます。治療方針を決める上で重要かつ不可欠な検査です。また。通常は冠動脈造影のあと、左心室の動きを調べるため左心室造影検査を行います。

Q4.治療はどのようなものがありますか?

治療法には、薬物療法、カテーテル治療法(冠動脈形成術)、手術療法があります。薬剤として は、血管を広げる作用のある硝酸薬(ニトログリセリン)は発作の寛解と予防に効く薬として代表的なものです。この他心臓の拍動数や心筋の収縮を抑えるベータ遮断薬、冠動脈攣縮による発作を予防するカルシウム拮抗薬、血管内に血栓ができるのを防ぐ(血液をさらさらにする)ためのアスピリン製剤、抗血小板薬などが処方されます。また動脈硬化を助長させる因子である糖尿病、高脂血症、高血圧のある場合は、これらに対する治療薬も同時に服用する必要があります。カテーテル治療法は、特殊なカテーテルを使って狭くなったり、閉塞した血管を広げ、血流を再開させる方法です。カテーテルの先端に付いた長細い風船を狭窄部でふくらませて広げる風船療法(バルーン療法)、風船付きカテーテルを用いて金属の網状の筒(ステント)を狭窄部血管内に植え込むステント療法、また先端に組織を削ることのできる特殊な装置の付いたカテーテルで狭窄部の血管内膜や沈着物質を削って広げるアテレクトミー療法などがあります。このカテーテル治療法は、通常は冠動脈造影検査とほぼ同じ準備や設備で、患者さんへの負担も比較的軽く迅速に行うことができるので、治療に急を要する(救急に搬送されてきた)心筋梗塞では、発症からの時間、病変の状況や重症度を判断したうえで、緊急の冠動脈造影検査に引き続いて直ちに行われる場合も少なくありません。病変の程度、部位、病変の数などから判断して薬物療法やカテーテル治療法では太刀打ちできないような場合や、カテーテル治療を行っても何度も再狭窄を繰り返すような場合には、手術療法が選択されます。

Q5.先生のご専門であるその手術はどのような方法で行われるのでしょうか?

手術では、血管の狭窄した部分は手をつけずに放置し、これとは別に血液の流れる道筋(バイパスといいます)を自分の体の中の別の血管を利用してつくり、狭窄部を飛び越してそこより先(末梢)に血液が流れるようにします。ちょうど道路のバイパスと同じ考え方です。冠動脈バイパス術(CABG)といいます。バイパスに利用する血管としては、胸壁の内側の血管(内胸動脈)、前腕(肘と手首の間)の血管(橈骨動脈)、下肢の血管(大伏在静脈)がよく用いられます。手術は、全身麻酔下に行われ、バイパス用の血管を採取、準備した後、胸を切開して心臓に到達し、人工心肺装置を装着して心臓を空にして拍動を停止させておいて、バイパス血管を縫合します。縫合が済めば、心臓の拍動を再開させ、人工心肺をはずして、胸を閉じて手術が終了します。心臓を手術する場合、人工心肺を使用する必要がありこれが腹部をはじめとする一般の外科手術と異なり特殊で手間のかかる部分です。最近では、心臓手術の中で、この冠動脈バイパス手術に限って人工心肺を使わずに心臓を拍動させたまま行う(低侵襲心臓手術)ことができるようになり、手術による負担や危険性を軽減できるようになってきました。

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